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2018年5月9日「わたしを離さないで」の残酷とリアリティ

カズオイシグロ氏の「わたしを離さないで」を読んだ。人間がクローンを作って、寄宿舎のようなところで、臓器提供者となるのを「使命」として受け入れるような教育を受けさせ、育てる。そのクローンの一人の回想として物語が進行する。
語り口の謎めいた穏やかさに引き込まれるように物語は進行し、謎が少しずつ解けて物語は終わる。しかし、読後気づくのだが、設定自体が、大変残酷なのだ。
意志を持った人間を、臓器のために作り上げ、用が済んだら殺してしまう、ということなのだ。
今のモラルからは、決して許されないような内容だといいたいが、この小説の恐ろしさは、この残酷な設定が、決して荒唐無稽のものではなく、あるいは近い将来―技術的に可能であれば、人間が実際にやってしまうのではないか、と思わせるような、リアリティがあるということである。
クローンは、「使命」という名のもとに、自分たちの臓器を「提供」することを受け入れるよう、「教育」される。人間は、時の支配者が、都合のいい人間を作るよう教育してきた。「お国のため」「親のため」「社会のため」「伝統文化を守るため」・・・・教育は、支配の根幹にある。カズオイシグロ氏の描いた寄宿舎の教育の説得力、リアリティはそれを思い出させる。
また、「セックスはできても、子どもはできない」というのがクローンの宿命となっている。有り得ないといいたいが、人間は、すでに、植物で実行している。F1(一代交配種)―形質が保証されるのは一代限りで、2代目は何が出てくるかわからないーというような単純なものばかりではない。贈り物でもらったカーネーション、胡蝶蘭、店で買ったビオラなど、どれも大切に育てたけれど、種もできず、たくさんの鮮やかな花をつけた後は、そののまま、腐るようにしおれていくのだ。植物にどのような操作がされているのか?恐ろしいばかりなのだ。もし、この技術が動物のクローンに可能となれば、人間はこの技術を使うかもしれない。
自分とは無関係な、別世界の物語を読むように読み進めた小説が、時間とともに、リアリティを持ち始め、臓器移植やクローン技術というものに、正面から向き合わされることとなった。
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