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紙の強さ

 父の引き出しに「僕の人生、頭の中のお浚い」という冊子があった。子供のころの思い出を克明に描いたものだ。名文だった。
 父は、多くの写真や文章を、SDカードのデータで遺した。SDカードは10枚くらい収納できるケースに入っているのだが、そのケースは多数あり、いったいどれくらいのものが残っているのか、家族でもわからない。そして、その1枚1枚を読もうとする者も今のところいない。おそらく、今後も現れないだろう。
 ところが、プリントアウトされたこの冊子は、すぐに私が読んだ。そして、姉も。
 写真も、プリントされた写真帳は開いてみる。
 保存のためにデータ化する、というのは確かに確実で賢いようだが、実は「死蔵」に近いものになる危険も大きい。さらに磁場の変化、再生機の変化によって、ついに再び日の目を見ることはない、ということも大いに考えられる。いや、実際すでに、最初のワープロ、フロッピー保存のものは、そもそも、元の機材がなければ再生できなくなっている。
 父が残した文章は、初期のワープロで書かれたものだ。印刷されていたから、読むことができた。
 昨年から、制作コスト、保存コスト、検索などの活用面での利便性など、データ(デジタル)製品の優れたところばかりを考えていたが、父の遺してくれた冊子は、改めて「紙」素晴らしさを思い出させてくれた。
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