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NHKファミリーヒストリーの怪しさ

NHKに「ファミリーヒストリー」という番組がある。有名人の先祖をたどるというものだ。父親、母親、祖父、くらいなら、まあわかるが、何代も前の有名人の1人を「○○さんの直系にあたる」などともてはやす。

けれども、普通に考えて、人は一代上がるごとに2のn乗の先祖を持っている。自分は、2の1乗、つまり母と父二人の遺伝子を受け継いでいる。そもそも「直系」というのが、勝手な妄想、あるいは、血の幻想の概念でしかない。遺伝子は、そう簡単に解き明かせる流れではないのだ。歴史的に大成功をおさめた人物が高祖父(4代前)にいたとして、そのDNAは2の4条すなわち16分の1である。のこり15人はなかったもののように取り扱うこの番組に、いったいどんな意味があるのだろう?あるいは、どういう「刷り込み効果」が期待されて作られているのだろう?

 すぐに思い浮かぶのは、長男相続の「家」や男尊女卑によって、女性の遺伝子がないものの如くに扱われた時代のことである。そもそも、遺伝子という概念がなくて、女性の腹は畑で、種(精子)が育つと考えられたからこのような幻想が生まれたのだが、もはや、男女の遺伝子の「合体」が命の源と分かった今日、「直系」などということに、いかがわしい、怪しい、意図を感じずにはいられない。

 と、ここまで書いて、だからこそ、この番組が、NHKらしいものだ、ということに気付いた。

 もちろん、何度かこの番組を見て、父母や祖父の「知られなかった歴史」に感動していた有名人を見た。それは身近で良く分かった。大事なのは、常に「2のn乗」という意識をもって、描かれる人物を見ることだろう。描かれる偉人の陰に、描かれなかった凡庸な人もいて、その人の全体が成り立っている。そんな風に思いませんか?

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